於母ろ御さうし

於母ろ御さうし Omoro Soshi



おもろさうし(おもろそうし:おもろを集めた冊子=さうし)とは

首里王府が奄美・沖縄に伝わるおもろを少なくとも3回にわたって採録した沖縄最古の歌謡集で全22巻ある。「おもろ」の語源は「うむい(=思い)」であり、そのルーツは祭祀における祝詞だったと考えられており、「そうし」を漢字表記すれば「草紙」となり、大和の「草紙」に倣って命名されたものと考えられる。
歌数1554首で重複を除いた実数は1248首になる。第1巻は1531年に編集され、第2巻は1613年5月28日に編集されている。第3巻から第22までは、巻11、巻14、巻17、巻22の4巻を除いて、1623年3月7日に編集されている。巻22は1首を除いてすべて他の巻からピックアップされたもので、この巻は若干編集が遅れたとも考えられるが、巻11は巻21の久米島おもろと同じものであったことから、1623年同時に出来たことは間違いない。巻14、巻17もだいたいこの頃に出来たと考えられる。


原本と書写諸本

「おもろさうし」の原本は1709年の首里城火災のさい焼失。翌年、具志川家に伝わる〈具志川本〉をもとに再編纂が行われた。そのときの編集責任者が国場朝睦(当時津嘉山)である。再編纂では2部作られ、1部は城内に(尚家本)、1部はおもろ主取の安仁屋家に(安仁屋本)保管された。
〈尚家本〉は現在最古のもので、県立博物館所蔵、国指定重要文化財である(1973.6.指定)。
〈安仁屋本〉には言葉間(聞)書が記入されており、その後の諸本1988~92年、沖縄県庁による琉球史料60余巻中にあった〈琉球史料本〉、その筆者で西常央が所蔵していた〈西本〉、同様に、田島利三郎が写した〈田島本〉、仲吉朝助の蔵してい居た〈仲吉本〉、安仁屋本・尚家本などと校合・校訂した伊波普猷の「校訂おもろさうし」(伊波本)があり、さらに仲吉本を底本に、尚家本・伊波本と合体した「校本おもろさうし」(仲原善忠・外間守善)がある。
尚家本は、沖縄戦で焼失したと思われていたが、アメリカの軍人が戦利品として本国に持ち帰っていたことがわかり、仲原善忠・吉里弘らの返還運動によって、1953年アイゼンハウワー大統領の名で沖縄に返還された。現在、国の重要文化財に指定され、沖縄県立博物館に所蔵されている。


形態

主にひらがなで書かれ、わずかだが漢字も混じる。短いものは2行から、長いものは40行に及ぶ韻文で、盛んに対句を用いており、これら祝詞(うむい)は琉歌の源流と考えられている。また、今では使われていない琉球古語が多く含まれている。


内容

王・高級神女・勇者・詩人・航海者をたたえ、風景・天象・戦争・神話について歌われている。わずかではあるが恋愛を歌ったものもある。全二十二巻の主な内容は以下の通りだが、編纂時期が不連続で、巻一が編纂されてから約70年間編纂が途絶えており、薩摩侵入後の万暦41年(1613年)になって巻二が、十年後の天啓3年に残りの二十巻が編纂されている。


構成

表題 内容
第一 きこゑ大きみ可おもろ 首里王府の御さうし 第二尚氏の最高神女のおもろ
歌数 : 41首
年次 : 嘉靖十年
    (1531年)
類別 : 神女・王府
第二 中城越来おもろ 首里王府の御さうし 中城、越来地方のおもろ
歌数 : 46首
年次 : 万暦四十一年五月廿八日
    (1613年)
類別 : 地方
第三 きこゑ大きみかなし おもろ御さうし 32首は巻1と重複
歌数 : 64首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 神女・王府
第四 あおりやゑさすかさの おもろ御さうし 聞得大君につぐ二人の高級神女(あおりやゑ・さすかさ)のおもろ
歌数 : 60首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 神女・王府
第五 首里天きやすへあんじおそいがなし 首里おもろの御さうし 首里のおもろ
歌数 : 79首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 地方・王府
第六 首里大君せんきみ君がなし もゝとふみあがりきみの つんしのおもろ御さうし 4人の高級神女のおもろ
歌数 : 54首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 神女・王府
第七 首里天きやすへあんじおそいがなし はひのおもろ御さうし 南部(首里)のおもろ
歌数 : 48首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 地方
第八 首里天きやすへあんじおそいがなし おもろねやがりあかいんこが おもろ御さうし 人おもろねあがりとあかいんこのおもろ
歌数 : 83首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 名人
第九 首里天きやすへあんじおそいがなし
いろのこねりおもろ御双紙
こねり即ち舞の手を記入したおもろ名
歌数 : 35首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : こねり・特殊
第十 ありきゑとのおもろ御さうし 舟の漕行、行進歌
歌数 : 45首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : ゑと・特殊
第十一 首里ゑとのおもろ御さうし 表題は誤りで、内容は巻21と同じ
歌数 : 96首
年次 : 不明
類別 : 地方
第十二 いろのあすびおもろ御さうし 神遊び、舞遊びのおもろ
歌数 : 94首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : あすび・特殊
第十三 舩ゑとのおもろ御さうし 舟歌(帆走)のおもろ
歌数 : 236首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : ゑと・特殊
第十四 いろのゑさおもろ御さうし 集団舞踊を伴うおもろ
歌数 : 70首
年次 : 不明
類別 : ゑと・特殊
第十五 首里天きやすへあんじおそいがなし うらおそいきたたんよんたむざおもろの御さうし 浦添、北谷、読谷山、宜野湾のおもろ
歌数 : 75首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 地方
第十六 首里天きやすへあんじおそいがなし 勝連具志川おもろの御さうし 勝連、具志川、与那城のおもろ
歌数 : 48首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 地方
第十七 恩納より上のおもろ御さうし 国頭地方および付近の離島のおもろ
歌数 : 74首
年次 : 不明
類別 : 地方
第十八 首里天きやすへあんじおそいがなし 志ま中おもろ御さうし 島尻。玉城付近のおもろ
歌数 : 32首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 地方
第十九 ちゑねんさしきはなぐすくおもろ御さうし 知念、佐敷、玻名城(具志頭)のおもろ
歌数 : 50首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 地方
第二十 こめすおもろの御さうし 米須(糸満)地方のおもろ
歌数 : 64首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 地方
第廿一 くめの二間切おもろ御さうし 久米島のおもろ
歌数 : 114首
年次 : 天啓三年癸亥三月七日
    (1623年)
類別 : 地方
第廿二 みおやたいりおもろ御さうし 公事の神歌
歌数 : 47首
年次 : 不明
類別 : 公事・王府

おもろさうし 第一巻


原文

きこゑ大きみ可おもろ
首里王府の御さうし
嘉靖十年
第一

あおりやへが節


一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
降(お)れて 遊(あす)びよわれば
天(てに)が下(した)
平(たい)らげて ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
現代語訳

巻1 首里王府の御さうし

一 聞得大君が
降りて 遊ばれると
天の下
平らげて 下さい

 鳴響む精高子が
又 首里モリグスク
又 真玉モリグスク

おもろさうしは必ず一という記号で始まり、 何行か後に又という記号が現れる。おもろは繰り返しと決まり文句の多い歌である。おもろの筆記者は繰り返しの部分を省略して書く工夫をした。それが又記号である。一と又記号の間の行を又記号のある行の次に繰り返し朗唱する。冒頭の歌は以下のように朗唱する。

得大君が
降りて 遊ばれると
天の下
平らげて 下さい
鳴響む精高子が
降りて 遊ばれると
天の下
平らげて 下さい

首里モリグスク
降りて 遊ばれると
天の下
平らげて 下さい

真玉モリグスク
降りて 遊ばれると
天の下
平らげて 下さい


あおりやへが節


一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
降(お)れて 遊(あす)びよわれば
神(かみ)てだの
守(まぶ)りよわる按司(あんじ)添(おそ)い
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
2
聞得大君が
降りて 遊ばれると
神太陽の
守られる按司大主
鳴響む精高子が
降りて 遊ばれると
神太陽の
守られる按司大主
首里モリグスク
降りて 遊ばれると
神太陽の
守られる按司大主
真玉モリグスク
降りて 遊ばれると
神太陽の
守られる按司大主

あおりやへが節


一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
世添(そ)うせぢ みおやせば
千万 世 添(そ)わて ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)い
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)い
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
又 大君す 守(まぶ)らめ
3
聞得大君が
世を守る精 差し上げれば
千万 世に 添えて 下さい
鳴響む精高子が
世を守る精 差し上げれば
千万 世に 添えて 下さい
聞え按司大主
世を守る精 差し上げれば
千万 世に 添えて 下さい
鳴響む按司大主
世を守る精 差し上げれば
千万 世に 添えて 下さい
首里モリグスク
世を守る精 差し上げれば
千万 世に 添えて 下さい
真玉モリグスク
世を守る精 差し上げれば
千万 世に 添えて 下さい
大君こそ 守ります
世を守る精 差し上げれば
千万 世に 添えて 下さい

あおりやへが節


一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
天(てに)の祈(いの)り しよわれば
てるかはも 誇(ほこ)て 
おぎやか思(も)いに
笠利(かさり) 討(う)ちちへ みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
4
聞得大君が
天の祈り なされば
太陽神も 誇り
尚真王に 
笠利 討って 下さい
鳴響む 精高子が
天の祈り なされば
太陽神も 誇り
尚真王に 
笠利 討って 下さい

あおりやへが節


一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや 
赤(あけ)の鎧(よろい) 召(め)しよわちへ
刀(かたな)うちい
大国(ぢやくに) 鳴響(とよ)みよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 月しろは さだけて
又 物知(し)りは さだけて
5
聞得大君が
赤の鎧 召されて
刀佩いて
大国 鳴響み下さい
鳴響む精高子が
赤の鎧 召されて
刀佩いて
大国 鳴響み下さい
時知りを 従え
赤の鎧 召されて
刀佩いて
大国 鳴響み下さい
物知りを 従え
赤の鎧 召されて
刀佩いて
大国 鳴響み下さい

あおりやへが節


一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
  神座(かぐら)吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
按司(あんじ)添(おそ)いす
十(と)百(もゝ)末(すへ) ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 てるかはと 行(よ)き合(や)て
又 てるしのと 行(よ)き合(や)て
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
降(お)れて 降(お)れ栄(ふさ)よわ
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
又喜界(ききや)の浮島
喜界(ききや)の焼(やけ)島(しま)
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
世掛(が)けにせ按司(あんじ)添(おそ)い
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
添(おそ)いにせ按司(あんじ)添(おそ)い
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
  神座(かぐら)ぎやめ 鳴響(とよ)で
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや
  おぼつぎやめ 鳴響(とよ)で 
6
聞得大君が
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい
鳴響む精高子が
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい
太陽神と 行き合い
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい
照日神と 行き合い
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい
首里モリグスク
降りて 降り栄え下さい
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい
真玉モリグスク神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい

(2行混入:喜界へ 聞く人の心は浮かれ
喜界へ 聞いた人の心は、 妬け
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい)

首里モリグスク
世に高い按司大主
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい
真玉モリグスク
世を守る按司大主
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい
聞え按司大主は
神の座まで 鳴響み
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい
鳴響む按司大主は
神の国まで 鳴響み 
神の日を 取られて
按司大主は
末永く 居て下さい

あおりやへが節


一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
十嶽(とたけ) 勝(まさ)りよわちへ
見れども飽(あ)かぬ首里親(おや)国
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)い
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
7
聞得大君が
十嶽 勝られて
見ても飽きない首里親国
鳴響む精高子が
十嶽 勝られて
見ても飽きない首里親国
聞え按司大主
十嶽 勝られて
見ても飽きない首里親国
首里モリグスク
十嶽 勝られて
見ても飽きない首里親国
真玉モリグスク
十嶽 勝られて
見ても飽きない首里親国

あおりやへが節


一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
京(けよ)のせぢ 遣(や)りよわば
島(しま) 丸(まる)く
御声(みこゑ)し遣(や)り 添(おそ)わ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
8
聞得大君が
強い精 差し上げれば
島 丸く
御声差し上げ 守れ
鳴響む精高子が
強い精 差し上げれば
島 丸く
御声差し上げ 守れ
首里モリグスク
強い精 差し上げれば
島 丸く
御声差し上げ 守れ
真玉モリグスク
強い精 差し上げれば
島 丸く
御声差し上げ 守れ

あおりやへが節


一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
降(お)れて 降(お)れ栄(ふさ)よわちへ
世(よう) 揃(そろ)いて
おぎやか思(も)いに みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
9
聞得大君が
降りて 降り栄え下さり
世は 揃えて
尚真王に 差し上げよ
鳴響む精高子が
降りて 降り栄え下さり
世は 揃えて
尚真王に 差し上げよ
首里モリグスク
降りて 降り栄え下さり
世は 揃えて
尚真王に 差し上げよ
真玉モリグスク
降りて 降り栄え下さり
世は 揃えて
尚真王に 差し上げよ

きこゑたうやまが節
10

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
戦(いくさ)せぢ みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや
10
聞得大君が
戦精 差し上げよ
鳴響む精高子が
戦精 差し上げよ
聞え按司大主は
戦精 差し上げよ
鳴響む按司大主は  
戦精 差し上げよ

あおりやへが節
11

一聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
十百(ともゝ)
算為(さにし)ちへ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
11
聞得大君が
十百 数かぞえ 下さい
鳴響む精高子が
十百 数かぞえ 下さい
首里モリグスク
十百 数かぞえ 下さい
真玉モリグスク
十百 数かぞえ 下さい

大きみがいくさせぢみおやせが節
12

一 聞(きこ)ゑたう山(やま)に
大君(きみ)ぎや 気(け) 遣(や)りよわ
又 鳴響(とよ)むたう山(やま)に
又 せるましの くひしに
又 島尻(しまじり)の いくさに
12
聞え当山に
大君の 気を 差し上げよ
鳴響む当山に
大君の 気を 差し上げよ
知真志の 冠に
大君の 気を 差し上げよ
島尻の 藺草に
大君の 気を 差し上げよ

あおりやへが節
13

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
搔(か)い撫(な)でわる貴(たゝ)み人(きよ) 
果報(かほう)寄(よ)る見揚(みや)がの杜(もり) ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり) ちよわれ
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわれ
13
聞得大君が
守ります貴い人
幸寄る見上げるモリ 居て下さい
鳴響む精高子が
守ります貴い人
幸寄る見上げるモリ 居て下さい
首里モリ います
守ります貴い人
幸寄る見上げるモリ 居て下さい
真玉モリ います
守ります貴い人
幸寄る見上げるモリ 居て下さい

あおりやへが節
14

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
祈(いの)り奉(たてまつ)れば
万万(まんまん) あすらまん ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
14
聞得大君が
祈り下されば
万万 限りなく 居て下さい
鳴響む精高子が
祈り下されば
万万 限りなく 居て下さい
首里モリグスク
祈り下されば
万万 限りなく 居て下さい
真玉モリグスク
祈り下されば
万万 限りなく 居て下さい

あおりやへが節
15

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
せぢ高(たか) うち揚(や)がて ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が 
15
聞得大君が
精高く 打ち揚がり 下さい
鳴響む精高子が
精高く 打ち揚がり 下さい

あおりやへが節
16

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
おぎやか思(も)いや 
君(きみ)しよ 守(まぶ)りよわめ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
  真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 さしふ 照(て)る雲(くも)に
  降(お)れ直(なお)ちへからは
又 さしふ 照(て)るきしやけ
  降(お)れ栄(ふさ)てからは
又 てるかはと 十声(とこゑ) 遣(や)り交(かわ)ちへ
又 てるしのと ゑりちよ 遣(や)り交(かわ)ちへ
又 てるかはも 誇(ほこ)て 
16
聞得大君が
首里モリ 降りられて
尚真王は
君こそ 守り下さい
鳴響む精高子が
真玉モリ 降りられて
首里モリ 降りられて
尚真王は
君こそ 守り下さい
憑き女 照雲に
降り直してからは
首里モリ 降りられて
尚真王は
君こそ 守り下さい
憑き女 照妃
降り栄えてからは
首里モリ 降りられて
尚真王は
君こそ 守り下さい
太陽神と 十声 遣り交わして
首里モリ 降りられて
尚真王は
君こそ 守り下さい
照日神と 言葉 遣り交わして
首里モリ 降りられて
尚真王は
君こそ 守り下さい
太陽神も 誇り
首里モリ 降りられて
尚真王は
君こそ 守り下さい

あおりやへももりやあんじが節
17

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
せぢ鳴響(とよ)み精軍(せいくさ)
島(しま)討(う)ちの 鳴響(とよ)み 
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
  せぢ鳴響(とよ)み精軍(せいくさ)
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いぎや
  せぢ鳴響(とよ)み軍(いくさ)
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)ぎや
  せぢ鳴響(とよ)み軍(いくさ)
又 ゑそこ 通(かよ)わぎゃめ
  せぢ 遣(や)り遣(や)り 添(おそ)う
又 み御船(おふね) 通(かよ)わぎゃめ
  せぢ 遣(や)り遣(や)り 添(おそ)は
又 精軍(せいくさ) 押(お)し発(た)てば
  気(けお) 遣(や)り遣(や)り 守(まぶ)ら

又 精百(せひゃく) 押(お)し発(た)てば
気(けお) 遣(や)り遣(や)り 守(まぶ)ら
又 だしきや 打(う)ち釘(くぎ)
  ちやはれ 廻(まわ)らし
17
聞得大君が
精鳴響む精軍 
島討ちの 鳴響み
鳴響む精高子が
精鳴響む精軍
精鳴響む精軍 
島討ちの 鳴響み
聞え按司大主が
精鳴響む戦
精鳴響む精軍 
島討ちの 鳴響み
鳴響む按司大主が
精鳴響む軍
精鳴響む精軍 
島討ちの 鳴響み
兵の船 通う限り
精 遣り遣り 添うて
精鳴響む精軍 
島討ちの 鳴響み
御船 通う限り
精 遣り遣り 添うて
精鳴響む精軍 
島討ちの 鳴響み
精軍 押し発てば
気を 遣り遣り 守れ
精鳴響む精軍 
島討ちの 鳴響み
精百 押し発てば
気を 遣り遣り 守れ
精鳴響む精軍 
島討ちの 鳴響み
聖なる木 打ち杭
気を張り 廻らせよ
精鳴響む精軍 
島討ちの 鳴響み

あおりやへが節
18

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
百歳(ひやくさ)ぎゃめ
おぎやか思(も)いしよ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
  真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや
18
聞得大君が
首里モリ 降りられて
百歳まで
尚真王こそ 居て下さい
鳴響む精高子が
真玉モリ 降りられて
首里モリ 降りられて
百歳まで
尚真王こそ 居て下さい
聞え按司大主は
首里モリ 降りられて
百歳まで
尚真王こそ 居て下さい
鳴響む按司大主は
首里モリ 降りられて
百歳まで
尚真王こそ 居て下さい

あおりやへが節
19

一聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
今日(けよ) 降(ふ)らす 雨(あめ)や
京(きや)の内庭(うちみや)に
金(こがね) 降(ふ)り満(み)ちへて
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 今日(けお)の良(よ)かる日に
又 今日(けお)のきやかる日に
19
聞得大君が
今日 降らす 雨は
京の 内庭に
金 降り満たして
鳴響む精高子が
今日 降らす 雨は
京の 内庭に
金 降り満たして
今日の良き日に
今日 降らす 雨は
京の 内庭に
金 降り満たして
今日の輝く日に
今日 降らす 雨は
京の 内庭に
金 降り満たして

あおりやへが節
20

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
しけ内(うち) 綾(あや) 遊(あす)ばちへ
清(きよ)らの花(はな)の
うらうらと
鳴響(とよ)で 見物(みもん)
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
20
聞得大君が
聖なる場 美しく 遊ばされ
清き花の
うらうらと
鳴響み 見物
鳴響む 精高子が
聖なる場 美しく 遊ばされ
清き花の
うらうらと
鳴響み 見物

あおりやへが節
21

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
島討(しまう)ち富(とみ) 押(お)し浮(う)けて
神座(かぐら)の 天降(てよ)り富(とみ)る かに ある
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に
21
聞得大君が
島討丸 押し浮かべ
神の地 天降丸は このように
鳴響む精高子が
島討丸 押し浮かべ
神の地 天降丸は このように
今日の良き日に
島討丸 押し浮かべ
神の地 天降丸は このように
今日の輝く日に
島討丸 押し浮かべ
神の地 天降丸は このように

きこへ大ぎみみてづからいのてが節
22

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
御愛(みかな)しけ按司(あんじ)添(おそ)い
うらうらと
同座敷(ゑんざ[し]き) ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
22
聞得大君が
愛しき按司大主
うらうらと
同じ座敷 居て下さい
鳴響む精高子が
愛しき按司大主
うらうらと
同じ座敷 居て下さい

よかきげらへが節
23

一 大君(ぎみ)ぎや
いろのべに 直(な) しよわちへ
君(きみ) 撓(しな)て なよらに
又 精高子(せだかこ)が
  まだまべに 直(な) しよわちへ
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に
23
大君が
祈る場に 変わられて
君は 従い 踊れ
精高子が
真玉場に 変わられて
祈る場に 変わられて
君は 従い 踊れ
今日の良き日に
祈る場に 変わられて
君は 従い 踊れ
今日の輝く日に
祈る場に 変わられて
君は 従い 踊れ

あおりやへが節
24

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
降(お)れて 降(お)れ直(なふ)しよわ 
按司(あんじ)添(おそ)いに
世果報(がほう) みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
24
聞得大君が
降りて 降り変わられて
按司大主に
世の幸 差し上げよ
鳴響む精高子が
降りて 降り変わられて
按司大主に
世の幸 差し上げよ

あおりやへが節
25

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
初(はぢ)め軍(いくさ) 立(だ)ちよわちへ
合(あ)おて 行(い)き遣(や)り
敵(かたき) 治(ひぢ)めわちへ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
25
聞得大君が
初め軍 立たたれて
戦い 行き合い
敵 治められて
鳴響む精高子が
初め軍 立たたれて
戦い 行き合い
敵 治められて

あおりやへが節
26

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
世掛(が)けせぢ  降(お)ろちへ
按司(あんじ)添(おそ)いしよ
末(すゑ) 勝(まさ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
26
聞得大君が
世を守る精 降ろして
按司大主こそ 
末 勝り 下さい
鳴響む精高子が
世を守る精 降ろして
按司大主こそ 
末 勝り 下さい
首里モリグスク
世を守る精 降ろして
按司大主こそ 
末 勝り 下さい
真玉モリグスク
世を守る精 降ろして
按司大主こそ 
末 勝り 下さい

あおりやへが節
27

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
歓(あま)ゑわちへからは  
成(な)さい人(きよ)思(も)いに
島(しま)が命(いのち) みおやせ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
27
聞得大君が
喜ばれてからは
父なる方に
島の命 差し上げよ
鳴響む精高子が
喜ばれてからは
父なる方に
島の命 差し上げよ
首里モリグスク
喜ばれてからは
父なる方に
島の命 差し上げよ
真玉モリグスク
喜ばれてからは
父なる方に
島の命 差し上げよ

あおりやへが節
28

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
世果報(がほう)杜(もり)に  
島(しま)世(ゆ) 揃(そろ)へわちへ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 佐(さ)敷(しき)金杜(もり)に 世果報(がほう)
又 聞(きこ)ゑ吾(あ)が成(な)さい人(きよ)に
   
28
聞得大君が
幸あるモリに
島の世 添えられて
鳴響む精高子が
幸あるモリに
島の世 添えられて
佐敷金モリに
世の幸
幸あるモリに
島の世 添えられて
聞え吾が幸ある人に
幸あるモリに
島の世 添えられて

大ざとのげすのおもいあんじぎや節
29

一 与那覇(よなは)浜(ばま)聞得(きこゑ)大君(ぎみ)
八千代(やちよ) 掛(か)けて 鳴響(とよ)まさに
又 あきり口(ぐち) 鳴響(とよ)む大君(きみ)
八千代(やちよ)
又 馬天(ばてん)浜(はま) 聞(きこ)ゑ照(て)る君(きみ)
  八千代(やちよ)
又 赤(あか)ら傘(かさ) 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がり
  八千代(やちよ)
29
与那覇浜 聞得大君
八千代 掛けて 鳴響み下さい
上がり口 鳴響む大君
八千代
八千代 掛けて 鳴響み下さい
馬天浜 聞え照君
八千代
八千代 掛けて 鳴響み下さい
赤き傘 百度踏揚
八千代
八千代 掛けて 鳴響み下さい

あおりやへが節
30

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
雨(あめ)漏(も)らん杜(もり)に  
いのり揚(あ)がりしよ
世は ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 佐(さ)敷(しき)金杜(もり)や
30
聞得大君が
雨漏らぬモリに
末広がりこそ
世は 在って下さい
鳴響む精高子が
雨漏らぬモリに
末広がりこそ
世は 在って下さい
佐敷金モリは
雨漏らぬモリに
末広がりこそ
世は 在って下さい

きこへ大ぎみぎやさやはたけおれわちへが節
31

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
てるかはは 宣立(のだ)てゝ
按司(あんじ)添(おそ)いしよ
天(てに)ぎや下 添(おそ)ちへ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
  てるしのは 宣立(のだ)て
又 いせゑけり 按司(あんじ)添(おそ)い
  肝(あゆ)が内(うち)は 嘆(なげ)くな
又 いせゑけり貴(たゝ)み人(きよ)
  御肝内(おぎもうち)は 嘆(なげ)くな
又 精軍(せいくさ) 押(お)し発(た)てば
  大君(おおきみ)しよ よ(世)治(し)らめ
又 精百(せひやく) 押(お)し発(た)てば
精高子(せだかこ)がす よ(世)治(し)らめ
又 国持(も)ちのはらはら
  おぼつ庭(な)よ 世 揃(そろ)へて
又 浦(うら)寄(よ)せのもどろ
神座(かぐら)庭(な)よ 世 添(そ)ゑ
又 国(くに)かねのはらら
  島(しま)は 平(たい)らあげて
又 浦(うら)治(ひぢ)めもどろ
国(くに) 広(ひろ)く 添(そ)ゑて
又 赤口(あかぐちや)が 依(よ)い憑(つ)き
  精軍(せいくさ)てゝ 發(は)ねて
31
聞得大君が
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
鳴響む精高子が
照日神を 祈り
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
兄弟の按司大主
肝内は 嘆くな
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
兄弟の貴き人
心内は 嘆くな
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
精軍 押し出せば
大君こそ 守れ
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
精百 押し出せば
精高子こそ 守れ
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
国守るつわもの
天上の庭 世 揃えて
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
浦寄斑丸、 
神の庭 世 添え
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
国守る 兵達
島を 平らげて
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
浦治斑丸
国 広く 添えて
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り
火の神が 依り憑き
精軍を はねて
太陽神を 祈り立て
按司大主こそ
天の下 守り

天より下の王にせが節
32

一 聞得(きこゑ)君(きみ)添(おそ)い
降(お)れて 遊(あす)びよわれば  
天(てに)より下(した)の
せぢ果報(がほう) みおやせ
又 精(せ)高(だか)君(きみ)添(おそ)いぎや
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
32
聞え君大主
降りて 遊ばされると
天より下の
精の幸を 差し上げよ
精高君大主が
降りて 遊ばされると
天より下の
精の幸を 差し上げよ
首里モリグスク
降りて 遊ばされると
天より下の
精の幸を 差し上げよ
真玉モリグスク
降りて 遊ばされると
天より下の
精の幸を 差し上げよ

あおりやくもりやあぢの節
33

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
大国(ぢやくに)や 世 添(そ)ゑる
按司(あんじ)添(おそ)いしよ 鳴響(とよ)め
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
又 いせゑけり按司(あんじ)添(おそ)い
又 いせゑけり貴(たゝ)み人(きや)
又 精軍(せいくさ)せぢ 勝(まさ)れ
又 精百(せひやく)せぢ 勝(まさ)れ
又 首里(しより)杜(もり) ころころ
又 御島数(みしまかず) ころころ
又 肝(あよ) 強(ちよ)く 実(げ)に あれ
又 肝(きも) 強(ちよ)く だに あれ
又 気(け)有(や)る精(せい)遣(や)り富(とみ)
又 気(け)有(や)る天(て)降(よ)り富(とみ)
(又)八重(やへ)島(しま)厳子(いつこ)
  肝(あよ)迷(まよ)い しめや
又 波(は)照間(たら)島(しま)くはら
  肝(きも)迷(まよ)い 取(と)らちへ
又 首里杜(もり)あせは
  土(つち)斬(ぎ)りに 斬(き)らせ
又 真(ま)玉杜(もり)ちかわは
  土(みちや)斬(ぎ)りに 斬(き)らせ
又 浦(うら)の数(かず) 神(かみ)添(おそ)い
  相手(あいて)為(な)て 守(まぶ)ら
33
聞得大君が
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
鳴響む精高子が
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
勝れた兄弟按司大主
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
勝れた兄弟貴き人
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
精軍は勝り
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
精百は勝り 
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
首里モリ 男たち
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
御島の 男たち
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
肝 強く あって 下さい
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
心 強く あって 下さい
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
気 有る 精遣丸
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
気 有る 天降丸
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
八重山島おとこ
肝を迷わせて
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
果ての島おとこ
心を迷わせて
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
首里モリ兵は
土斬りに 斬らせ
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
真玉モリつわもの
土斬りに 斬らせ
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め
浦浦の 神大主
相手となり 守れ 
大国は 世を 添えて
按司大主こそ 鳴響め

きこへきみおそいが節
34

一  聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
斎場(さやは)嶽(たけ) 降(お)れわちへ
うらうらと
御想(さう)ぜ様(や)に ちよわれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
寄(よ)り満(み)ちへに 降(お)れわちへ
又 いしゑけり按司(あんじ)添(おそ)い
  搔(か)い撫(な)でてす 依(よ)り降(お)れて
又 いしゑけり貴(たゝ)み人(きや)
  見(み)守(まぶ)てす 依(よ)り降(お)れて
又 御(お)肝(ぎも)内(うち)に 御想(さう)ぜ
  明(あ)けとまに 譬(たと)ゑちへ
又 肝(あよ)が内(うち)に 御想(さう)ぜは
  明(あ)け立(た)ちに 譬(たと)ゑて
又 精軍(せいくさ)吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
  島討(しまう)ちせぢ もちよろ
又 精百(せひやく)吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
  国討(くにう)ちせぢ もちよろ
又 威部(いべ)の祈(いの)り しよわちへ
  浦々(うらうら)は 寄(よ)せて
又 司(つかさ)祈(いの)り しよわちへ
  撫(な)でる曲(わ)は 寄(よ)せて
又 きらの数(かず) 吉日(ゑか)の数(かず) 祈(いの)て
うらうらと
34
聞得大君が
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
鳴響む精高子が
寄満嶽に 降りられて
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
勝れる兄弟按司大主
守り愛で 依り降りて
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
勝れる兄弟貴き人
見守り 依り降りて
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
心内に 思い
あかつきに たとえて
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
肝の内に 思うには
明け方に たとえて
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
戦日和 取られて
島討ち精 うるわしく
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
心日和 取られて
国討ち精 うるわしく
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
聖なる祈り なされて
浦浦は 寄せて
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
司祈り なされて
浜浜は 寄せて 
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい
幸の数 良き日数 祈り
うらうらと 
斎場嶽 降りられて
うらうらと
心のまま 居て下さい

おらそいおもろの節
35

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
押(お)し遣(や)たる精軍(せいくさ)
按司(あんじ)添(おそ)いしよ 世 添(そ)ゑれ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
押(お)し遣(や)たる精軍(せいくさ)
又 あはれ愛(かな)し君(きみ)南風(はえ)
島(しま)討(う)ち為(し)ちへす 戻(もど)りよれ

又 あはれ愛(かな)し君(きみ)南風(はえ)
  国(くに)討(う)ち為(し)ちへす 戻(もど)りよれ
又 群(も)り合(や)へ子(こ)達(た) 大国(ぢやくに)為(し)ちへ
島(しま)討(う)ち為(し)ちへす 戻(もど)りよれ
又 大ころ達(た) 大国(ぢやくに)為(し)ちへ
  国(くに)討(う)ち為(し)ちへす 戻(もど)りよわれ
又 ゑそこ数(かず) ころ達(た)よ 島(しま)討(う)ち為(し)ちへす 戻(もど)り
又 み御(お)船(うね)数(かず) ころ達(た)よ
  合(あ)おてす 戻(もど)りよれ
又 おぼつぎやめ 鳴響(とよ)で
 合(あ)おてす 戻(もど)りよれ
35
聞得大君が
押し遣った精軍
按司大主こそ 世 守れ
鳴響む精高子が
押し遣った精軍
押し遣った精軍
按司大主こそ 世 守れ
ああ愛しき君南風
島討ち してこそ 戻られよ
押し遣った精軍
按司大主こそ 世 守れ
ああ愛しき君南風
国討ち してこそ 戻られよ
押し遣った精軍
按司大主こそ 世 守れ
群れあう子等 大国 なれば
島討ちしてこそ 戻られよ
押し遣った精軍
按司大主こそ 世 守れ
男たち 大国 なれば
国討ち してこそ 戻られよ
押し遣った精軍
按司大主こそ 世 守れ
大きい船 男たち
島討ち してこそ 戻られよ
押し遣った精軍
按司大主こそ 世 守れ
多い船 男たち
討ち合い 戻られよ
押し遣った精軍
按司大主こそ 世 守れ
天までも 鳴響み
討ち合い 戻られよ
押し遣った精軍
按司大主こそ 世 守れ

あがおなりがみの節
36

一 按司(あんじ)添(おそ)いや
  金内(うち)に ちよわれ
  世の想(さう)ぜ しよわれ
 大君(きみ)す 気(けい) 遣(や)りよわれ
又 按司(あんじ)添(おそ)いや
  京(けお)の内(うち)に ちよわちへ
世の想(さう)ぜ しよわれ
精高子(せだかこ)す 気(けい) 遣(や)りよわれ 
又 按司(あんじ)添(おそ)いや
  御(お)肝(ぎも)内(うち)は 嘆(なげ)くな
大君(きみ)す 気(けい) 遣(や)りよわれ
又 貴(たゝ)み人(きよ)は  
肝(あよ)が内(うち)は 嘆(なげ)くな
又 首里杜(もり)大ころが
島(しま) 広(ひろ)く 添(そ)へて
按司(あんじ)添(おそ)いに
世 添(そ)へて みおやせ
又 御(み)島(しま)数(かず)ころころ 
  国 広(ひろ)く 添(そ)へて
又 君(きみ)南風(はゑ)が
  宮(みや)古(こ)島(しま) 走(は)ちへおわれ
  島(しま) 広(ひろ)く 添(そ)へて
又 京(けお)の主(しよ)が
八(や)重(へ)山(ま)島(しま) 走(は)ちへおわれ
  国(くに) 広(ひろ)く 添(そ)ゑて
又 八(や)重(へ)山(ま)島(しま)厳(いつ)子(こ)
  あせ等(ら) 撓(た)めやらば
大君(きみ)す よ(世)治(し)らめ
又 波(は)照(た)間(ら)島(しま)くはら
  ちかわ 撓(た)めやらば
精高子(せだかこ)す よ(世)治(し)らめ
又 あせ等(ら) 撓(た)めやらば
  沖(おき)膾(なます) すもらん
  大君(きみ)す よ(世)治(し)らめ
36
按司大主は
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
按司大主は、  京の内に 居て
世の思い して下さい
精高子は 気を やって下さい
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
按司大主は
御肝内は 嘆くな
大君は 気を やって下さい
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
貴き人は
肝の内は 嘆くな
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
首里モリ年寄りは
島 広く 添えて
按司大主に
世 添えて 差し上げよ
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
島内の男たち
国 広く 添えて
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
君南風が
宮古島 走られて
島 広く 添えて
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
強き主が 
八重山島 走られて
国 広く 添えて
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
八重山島おとこ
敵を 倒したら
大君は 世を治めます
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
果ての島おとこ
仇を 倒したら
精高子は 世を治めます
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい
敵を 倒したら
沖膾 捧げよ
大君は 世を治めます
城の内に 居て下さい
世の思い して下さい
大君は 気を やって下さい

かぐらとよでが節
37

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
鳴響(とよ)まちへ みおやせ
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い按司(あんじ)添(おそ)い
吾(あ)が搔(か)い撫(な)で按司(あんじ)添(おそ)い
又 京(けお)の内(うち)に もちよる
  もちろ内(うち)の もちよる
又 国清(きよ)らは 煽(あお)らちへ
  あけ珍(めづ)ら 煽(あお)らちへ
又 鳴(な)り鳴響(とよ)み 打(う)ち揚(や)げて
  鳴(な)り清(きよ)らは 打(う)ち揚(や)げて
又 大君(きみ)は いきよて
  君(きみ)々は いきよて
又 京(けお)の踊(よ)り 降(お)れわちへ
  もちろかちへ 遊(あす)べば
又 げらへ大ころ達(た)
算(さに)知(し)らん ころころ
又 肝(あよ) 揃(そろ)て そこて
  肝(きも) 揃(そろ)て そこて
又 厳(いつ)子(こ) 此(こ)の御(み)島(しま)
  くはら 此(こ)の御(み)国(くに)
又 あがな遣(や)り 降(お)れわちへ
  養(やしな)な遣り 降(お)れわちへ
37
聞得大君が
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
父なる人按司大主
吾が愛する按司大主
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
京の内にきらめき
御城内にきらめき
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
清き旗を なびかせて
珍しき傘を なびかせて
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
鳴響む鼓 打ち揚げて
清き鼓 打ち揚げて
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
大君を 招いて
君君を 招いて
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
気の踊り 降りられて
きらめかせて 遊べば
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
清き男たち
数知らぬ男ら
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
肝 揃え 喜び
心 揃え 喜び 
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
おとこ この御島
おとこ この御国
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ
守り育て 降りられて
養いて 降りられて
鳴響む精高子が
鳴響ませて 差し上げよ

かぐらとよでが節
38

一 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
御(み)島(しま) 祈(いの)られ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い按司(あんじ)添(おそ)い
吾(あ)が搔(か)い撫(な)で按司(あんじ)添(おそ)い
又 大君(きみ)よ いきよて
  精高子(せだかこ)よ 手(て)摩(づ)て
又 ゑそこ名(な)よ 乞(こ)ゆわちへ
  み御(お)船(うね)名(な)よ 乞(こ)よわちへ
又 天(あま)のそこらしや
  天(あま)の真嬉(まうれ)しや
又 世(よ)引(ひ)き富(とみ) 押(お)し浮(う)けて
  せぢ新(あら)富(とみ) 刳(く)り浮(う)けて
又 世(よ)付(つ)き富 押(お)し浮(う)けて
  雲(くも)子(こ)富(とみ) 刳(く)り浮(う)けて
又 舞(ま)やい富(とみ) 押(お)し浮(う)けて
  押(お)し明(あ)け富(とみ) 刳(く)り浮(う)けて
又 嶽(だけ)嶽(たけ)よ 祈(いの)て
  杜(もり)杜(もり)よ 祈(いの)て
又 煽(あお)りや 取(と)りよわり
天(て)降(お)りや 取(と)りよわり
又 ゑそこ数(かず) 付(つ)けわちへ
  み御(お)船(うね)数(かず) 付(つ)けわちへ
又 荒(そさ)ん 和(なご)やけて
  青波(あおなみ)やよ 凪(とど)やちへ
又 押(お)し浮(う)け数(かず) 見(み)守(まぶ)ら
  刳(く)り浮(う)け数(かず) 見(み)守(まぶ)ら
又 君々(きみきみ)しよ よ(世)治(し)らめ
  主々(ぬしぬし)しよ よ(世)治(し)らめ
38
聞得大君が
鳴響む精高子が
御島 祈り
首里モリ います
真玉モリ います
鳴響む精高子が
御島 祈り
父なる方按司大主
吾が愛する按司大主
鳴響む精高子が
御島 祈り
大君が 招いて
精高子が 手 摩り
鳴響む精高子が
御島 祈り
大船の名を 乞われて
御船の名を 乞われて
鳴響む精高子が
御島 祈り
天の誇る人
天の愛する人
鳴響む精高子が
御島 祈り
世引丸 押し浮かべ
精新丸 刳り浮かべ
鳴響む精高子が
御島 祈り
世付丸 押し浮かべ
雲子丸 刳り浮かべ 
鳴響む精高子が
御島 祈り
舞遣丸 押し浮かべ
押明丸 刳り浮かべ 
鳴響む精高子が
御島 祈り
嶽嶽に 祈り
モリモリに 祈り
鳴響む精高子が
御島 祈り
御傘を 取って下さい
扇子せんすを 取って下さい
鳴響む精高子が
御島 祈り
多い船 付けて下さい
大きい船 付けて下さい 
鳴響む精高子が
御島 祈り
荒波 和ませて
青波をも とどまらせ
鳴響む精高子が
御島 祈り
押浮くたび 見守れ
刳り浮くたび 見守れ
鳴響む精高子が
御島 祈り
君君こそ 世を治めます
主主こそ 世を治さめます
鳴響む精高子が
御島 祈り

かぐらとよでが節
39

一 聞(きこ)得(ゑ)大君(ぎみ)ぎや
鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
厳(いつ)子(こ)島(しま) 鳴(と)響(よ)で 
又 おぼつ世の 真(ま)高(だか)さ
  神(か)座(ぐら)世の 真(ま)高(だか)さ
又 おぼつ よためかちゑ
  天(てに)地(ち) よためかちへ
又 与那覇(よなは)浜(ばま) 依(よ)り降(お)れて
  雪(よき)の浜(はま) 依(よ)り降(お)れて
又 京(けお)の内(うち)ののろのろ
もちろ内(うち)ののろのろ
又 御(み)世(よ)立(た)ちやは ぬき上(あ)げて
  世(よお)立(た)ちやは 押(お)し上(あ)げて
又 如何(いきや)る なまたにやか
  如何(いきや)る あよなかか
又 君(きみ)よ 輝(かが)あらちへ
  主(ぬし)よ 輝(かが)あらちへ
又 肝(きも) 立(た)ち居(よ)れども
  肝(あよ)は 立(た)ち居(よ)れども
又 首里杜(もり) ちよわる
 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い按司(あぢ)添(おそ)い
吾(あ)が搔(か)い撫(な)で按司(あんじ)添(おそ)い
又 明(あ)けの露(つよ) おさちへ
  霜(しも)の露(つよ) おさちへ
又 厳(いつ)子(こ)島(しま) 揃(そろ)ゑて 
此(こ)の御(み)島(しま) 揃(そろ)ゑて
又 君田(きみた)降(う)り しよわちへ
  主(ぬし)貢(かまゑ) 取(と)りよわちへ
又 厳(いつ)子(こ)命(いのち) 継(つ)ぎよわちへ
くはら命(いのち) 継(つ)ぎよわちへ
又 誇(ほこ)て誇(ほこ)て 知(し)られれ
  そこてそこて 知(し)られれ
又 てるかはが 御(お)差(ざ)し
てるしのが 御(お)差(ざ)し
39
聞得大君が
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
天の世の気高さ
神の世の気高さ
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
神の 揺り動かし
天の 揺り動かし
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
与那覇浜 依り降りて
雪の浜 依り降りて
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
京の内 神女神女
御城内の 神女神女
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
御世に立つ人 選び上げて
世に立つ人 押し上げて
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
どのような 心内か
どのような 肝内か
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
君をかがやかせて
主をかがやかせて
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
肝 立って居ても
心 立って居ても
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
首里モリ います
真玉モリ います
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
父なる方按司大主
吾が愛する按司大主
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
明けの露 濡れていて
霜の露 濡れていて
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
首里を 揃えて
この御島 揃えて
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
君 田降り なされて
貢物 取られて
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
おとこの命 継がれて
兵士の命 継がれて
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
誇り誇り 知(し)らせよ
騒ぎ騒ぎ 知らせよ
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み
太陽神の 仰せ
照日神の 仰せ 
鳴響む精高子が
首里に 鳴響み

せぢやりやりやまとしまひぢめが節
40

一 にるや鳴響(とよ)む大主(ぬし)
  かなや鳴響(とよ)む若(わか)主(ぬし)
  にるやせぢ みおやせ
又 大(だ)島(しま) 添(おそ)う 按司(あぢ)添(おそ)い
  たきより 添(おそ)う 按司(あぢ)添(おそ)い
又 寄(よ)り満(み)ちへは やぬて
せぢ寄(よ)せは やぬて
又 大君(きみ)は いきよて
精高子(せだかこ)は 手摩(てづ)て
(又) 京(けお)の内(うち)の もちよろ
  もちろ内(うち)の もちよろ
又 誇(ほこ)るてて 実(げ)に あり
  そこるてて だに あり
又 赤(あか)口(ぐちや)が 撥(は)ねて
ぜるままが 撥(は)ねて
又 にるやぎやめ 通(とう)ちへ
  かなやぎやめ 通(とう)ちへ
又 あまにこの うらやて
  けさにこの 聞(きこ)ゑて
又 にるや吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
  かなや吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
又 首里(しより)杜(もり) うち歩(あよ)で
 真玉(まだま)杜(もり) うち歩(あよ)で
又 金(かね)の御(み)内(うち) 真(ま)庭(みや)に
  雲(くも)子(こ)御(み)内(うち) 真(ま)庭(みや)に
又 綾(あや)子(こ)浜(はま) やびちへ
  しつこ浜(はま) やびちへ
又 三(さん)庫(こお)裡(り) させわちへ
  三(さん)庭(み)あしやげ させわちへ
又 肝(あよ)が内(うち)の 生(う)まれて
  御(を)肝(ぎも)内(うち)の 勝(すぐ)れて
又 英(ゑ)祖(ぞ)にや真(ま)末(せ)按司(あぢ)添(おそ)い
  でだが末(すゑ)按司(あぢ)添(おそ)い
又 にるやせぢ 有(あ)らぎやめ
かなやせぢ 有(あ)らぎやめ
又 首里(しより)杜(もり) 栄(ふさ)い
 真玉(まだま)杜(もり) 栄(ふさ)い
又 大主(ぬし)す 守(まぶ)れ
若(わか)主(ぬし)す 守(まぶ)れ
40
海果国鳴響む大主
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
大島 守る 按司大主
この世を 守る 按司大主
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
寄満家を 造り
精寄を 造り
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
大君を 招いて
精高子は 手 摩り
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
京の内の きらめき
御城内の きらめき
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
誇るといって このように
騒ぐといって あのように
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
赤口が はねて
火の神が はねて
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ 
海果国までも 通して
彼方国までも 通して
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
天仁子が 響いて
先人子が 感じて
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
海果国の日 取られて
彼方国の日 取られて
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
首里モリ 踏みしめて
真玉モリ 踏みしめて
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
金のお城 真庭に
雲のお城 真庭に
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ 
綾子浜 現れ
引来浜 現れ
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
三庫裡 祈りして
三庭脚上 祈りして
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
肝の内の 生まれて
心内の 勝れて
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
英祖の末按司大主
太陽の末按司大主
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
海果国精 あるかぎり
彼方国精 あるかぎり
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
首里モリ 栄え
真玉モリ 栄え
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ
大主は 守る
若主は 守る
彼方国鳴響む若主
海果国精 差し上げよ

あおりやへが節
41

一 あがる降(お)り笠(かさ)が
  大君(きみ)に 知(し)られて
  いけな 選(ゑ)らで 降(お)ろちゑ
  按司(あんじ)添(おそ)い 十(と)百(もゝ)末(すへ) ちよわれ
又 聞(きこ)得(ゑ)大君(ぎみ)ぎや
  群(ぶ)れ島(しま)に
御(お)肝(ぎも)せぢ 遣(や)りよわちへ
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
御(お)肝(ぎも)内(うち)に 撓(しな)よわ
按司(あぢ)添(おそ)いす   
又 あがる降(お)り笠(かさ)が
  群(も)り合(や)へ君(きみ) 思(おも)い子(ぐわ)
持(も)ち成([な])ちやる 生(い)け生(い)けしや
又 ゆきあかりが 思(おも)い子(ぐわ)
  あがる降(お)り笠(かさ)が
持(も)ち成(な)ちやる 生(い)け生(い)けしや
又 君々(きみきみ)が 思(おも)い子(ぐわ)
持(も)ち成(な)ちやる 生(い)け生(い)けしや
又 俵(ひよう)掟(おきて)
  愛(まな)しけ貴(たゝ)み人(きよ)に
  知(し)られれ 按司(あぢ)添(おそ)い
又 げらへよらふさよ
  首里(しより)杜(もり) 降(お)れ欲(ぼ)しや
又 げらへゆらふさよ
  群(ぶ)れ島(しま)に 鳴(と)響(よ)で
41
清き降笠が、 
大君に 願い
憑き女 選び 降ろして
按司大主 末永く 居て下さい

(六行混入)省略

揚がる降笠が
群合君 愛し子
持て成したる 生き生きしさ
大君に 願い
憑き女 選び 降ろして
按司大主 末永く 居て下さい
雪明が 愛し子
揚がる降笠が
持て成したる 生き生きしさ
大君に 願い
憑き女 選び 降ろして
按司大主 末永く 居て下さい
君君が 愛し子
持て成したる 生き生きしさ
大君に 願い
憑き女 選び 降ろして
按司大主 末永く 居て下さい

(7行混入)省略

現代語訳:當眞嗣美氏