三線パーツの名称

三線パーツの名称 Parts of the Sanshin







上部

三線の型の違いのうち、もっともよく特徴が出るのがこの部分である。

ムディ(カラクイ、範、糸巻き)
絃の張り具合を調節する糸巻きをムディという。調弦により音階を調節する。その形状から、首里・梅・菊・カンプー・歯車型などいくつかのデザインがある。素材は主に黒檀・紫檀・黒柿である。中国の楽器の糸巻きをまねて、牛骨・ラクト材・象牙・プラスチックなどで装飾したものが多い。先端にあいた穴に弦を通して巻き上げていく。

男絃掛
中絃掛
女絃掛

チルダマイ(糸蔵)
糸巻きが絃を巻き取る、範部分中央の四角い穴のことである。

ウトゥガニ(歌口)
絃を棹に渡しながら、糸蔵の下にある3つの弦の位置を固定する大事な部分である。この高さや切込みの口の位置のずれは、たとえ1ミリ以下であっても音に大きな影響を与える。


胴まわり
スンウリ(野坂)
棹と胴が密接する付け根の、少し広がりの出ている表面部分が野坂である。

ウトゥチカラ(鳩胸)
スンウリ反対側の盛り上がった所を鳩胸と呼ぶ。鳩胸は、三線の型の違いでふくらみに特徴があらわれる。

チーガー(胴)
絃の音を増幅させる場所となる重要部分。ゴムの木などでできた型枠に皮(蛇皮、人口皮)を張ってある。
棹と胴の角度をあわせることを「 分当てブーアティ 」というが、このフーアティが悪いと絃を弾いたときビリビリと不快な音を立てる原因になる。

ティーガー(手掛)
胴の周りにつける装飾的な胴巻きのこと。この胴の表面上に、3つの絃を立てる部品「ウマ 」が設置される。駒の位置や高さを変える事で、音に変化をもたらします。以前は家紋をあしらったシンプルなものが多かったが、高度経済成長期を経て色や素材、デザインにバリエーションが増し、オリジナル性やファッション性に富んだティーガーがよく見られるようになった。大正時代頃までは、胴の手を乗せるために小さな面積の金襴製・毛皮製のティーガーを巻いたが、現在ではほとんど作られない。

*最近は様々な色や柄のものがあるが、琉球王家紋章の「左御紋ヒジャイグムン 」が定番である。


駒・絃
ウマ(駒)
絃を立てる部品。胴面に立てると絃が離れ、弾ける状態になる。ウマは前後で微妙に傾斜が異なっており、背側を棹に向けると倒れにくい。素材は竹(モウソウチク)や牛骨が一般的であるが、規定はない。ウマの素材によって音色も変わる。職人の間では竹製の駒を油で揚げる(油煎加工する)と良い駒になるとされる。夜間など音を響かせられないときの練習のために、三線用の消音駒(忍び駒、忍びウマ)も存在する。

チル(絃)
素材は伝統的には絹糸を撚ったものであったが、音のバランスを保ちにくく非常に切れやすかったために今日では白色のテトロンかナイロン製の絃が普及している。まれにエナメル製の絃も用いられるが、手触りの悪さから一般的ではない。奄美群島の三線では、黄色く染色した絹製の細い絃「大島絃ウーシマヂル 」が用いられる。大島絃が黄色なのは、かつて音に張りを与えるため弦に卵黄を塗った名残である。

ヲゥーヂル(男絃、太絃)
ナカヂル(中絃)
ミーヂル(女絃、細絃)


糸掛・猿尾
チルドゥミ(糸掛)
棹の先端に、三つの絃を結んで引っ掛けるものをチルドゥミと呼ぶ。

ミジアティ(猿尾)
棹の一番下で、チーガー(胴)から棹のしっぽ部分が出ている部分。


パーツの名称


各部 沖縄名 和名
 棹  ソウ  さお
 胴  チーガー  どう
 駒  ウマ  こま
 糸  チル  いと
 男絃  ヨゥーヂル  太絃
 中絃  ナカヂル  中絃
 女絃  ミーヂル  細絃
 糸掛  チルドゥミ  いとがけ
 爪  チミ  つめ
 猿尾  ミジアティ  さるお
 心  チーガタムチ  しん
 心穴  ミジトゥイウイミー  しんあな 上
 心穴  ミジトゥイシチャミー  しんあな 下
 爪(形)  ウトゥアティ  つめ
 爪裏  ウトゥダマイ  つめうら
 野坂  スンウリ  のさか
 鳩胸  ウトゥチカラ  はとむね
 野  トゥーイ  の 
 野丸  ティーアタイ  のまる
 栗転  ウトゥヌクイ  あわころび
 歌口  ウトゥガニ  うたぐち
 糸蔵  チルダマイ  いとぐち
 範  カラクイ(ムディ)  のり
 範穴  カラクイミー  のりあな
 天  チラ  てん
 月の輪  チラカマチ  つきのわ
 虹  ウイチラムチネー  にじ
 天橋  シムチラムチネー  てんきょう
 乳袋  ミルクミミ  ちちぶくろ
 胴表  チーガウムティ  どうおもて
 胴裏  チーガウラ  どううら
 手掛  ティーガ  てがけ
 磯  不詳  いそ
 浜  不詳  はま